いきもの図鑑(仮称)

いきものの写真をひたすら集めます。

カタバミ属は身近なわりに間違えやすい

カタバミ属は身近な雑草だが、「ムラサキカタバミの花は紫色ではない」「オッタチカタバミとタチカタバミは別種」など名前に罠が仕込まれているため、意外と間違えやすい。よく見かける代表的な種を紹介する。

 

植物界 Plantae
被子植物 Angiosperms
真正双子葉類 Eudicots
コア真正双子葉類 Core eudicots
バラ類 Rosids
真正バラ類I Eurosids I
カタバミ目 Oxalidales
カタバミ科 Oxalidaceae
カタバミ属 Oxalis

 

片喰
カタバミ O. corniculata


片喰の基本型。小さな黄色い花とハートが集まったような葉が特徴。街中どこでも見ることができる雑草の代表格。在来種ではあるが固有種ではなく世界中に分布する。

花びらは5弁。葉は黄緑色で、ハート型の小葉3つからなる。三出複葉で、頂小葉と左右の側小葉があるはずだが、3つの小葉がほとんど同じ形のため区別することは困難。各小葉の中央にある線で折れることがある。葉は赤紫色を帯びることもある。地表を這うように広がる。生育環境によっては縦に伸びることもある。

 

亜種の赤片喰(アカカタバミ)。葉は赤みが強く、花弁の基部に赤い輪がある。

 

おっ立ち片喰
オッタチカタバミ O. dillenii


片喰が地面を這うのに対し、おっ立ち片喰は縦に伸びる。しかし、片喰にも立つものがあり、立ち片喰(タチカタバミ)という亜種として扱われることがある。おっ立ち片喰と立ち片喰は名前が紛らわしいだけでなく、鑑別が難しい。

 

大黄花片喰
オオキバナカタバミ O. pes-caprae


群生する大黄花片喰。

 


大黄花片喰は比較的スリムなハート型の葉を持つ。最大の特徴は暗紫色の斑点である。花が無くとも容易に鑑別できる。

 

節根花片喰(芋片喰)
フシネハナカタバミ O. articulata

節根花片喰は鮮やかなピンク色の花を咲かせる。花の中心に紫色の筋が入る。名前のイメージのせいか紫片喰と混同されることがあるが、あちらは花の中心が白く抜けるので鑑別できる。

 

比較的珍しいが白い花を咲かせるものもあり、白花節根花片喰(シロバナフシネハナカタバミ)と呼ばれる。

芙蓉片喰
フヨウカタバミ O. purpurea

カタバミ属の中では特に大きい花を咲かせる。大黄花片喰や節根花片喰よりも大きい。

 

紫片喰
ムラサキカタバミ O. corymbosa

紫片喰という名前とは乖離するようにも思えるが、やや控えめなピンク色の花を咲かせる。節根花片喰とは異なり、花の中心が白く抜ける。見慣れれば葉の質感も異なることに気づく。道路脇の石やコンクリートの隙間からよく生えている印象。

 

紫の舞
ムラサキノマイ O. triangularis

紫色の特徴的な葉を持ち、他のカタバミ属と大きく異なるので見間違えることはないが、紫片喰と名前が紛らわしい点には注意を要する。

 

【番外】白詰草
シロツメクサ Trifolium repens


いわゆるクローバー。白詰草カタバミ属ではないが、葉が3つの小葉からなる点が共通している。ときに混同され、片喰を指してクローバーと呼ぶことがあるので、一応は注意した方がよい。